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日記のような週末記のような月末記のような… らるじゅのリアル事情デス。
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 彼は口を開きました。

「起きた事が理解できなければ、考えないで神様がやったと想えばいいじゃないか。」

 わたしは何も言いませんでした。
 そう信じること、信仰はそれぞれの自由だから。
「病気とか、死ぬ事とか。そういうのも宗教の信仰心に委ねてしまえばこれほどいい事はない。」
 そう考えればすごく楽なことだね。
「死んだ後に何も残らないなんて、考えたくもない。」
「…天国や地獄があればいいと想ってる?」
 黙っていたわたしはふと聞きなおしました。
 彼は一瞬びっくりしてから答えました。
「当然あるさ」
「どうして断言できるの?」
「神様が言ったから。カトリックに限らない、マホメッドでも神道でも仏教でも何でもいいけれど死んだ後に何かがあるって言うのは世界の宗教に共通しているだろう?だから、きっとある」

 ……
 わたしが首を傾けると、
 同意しかねていると判断したのだろう、彼は続けました。

「君は科学で全ての現象に対して原因を突き止めようとするけれど、それって無駄なことだよ、そうしないほうがいい。僕は皆が何らかの信仰心を持っていればこんなに幸せなことはないだろうに、って想う。科学者も信仰心を持つべきなんだ」
「なぜ?」
「だって今の科学は絶対じゃないだろ?わからない事の方が多い。これからだってきっとわからない事がほとんどだ。」
「だから、わからないままでいい?」
「うん。科学で現象が事実だってわかったからどうなるものじゃない。だから、神様がした事だって思えば…余計なことを考える必要も、不必要に原因を突き止める事もないじゃないか。起きた事は真実として受け止めるべきだよ。科学で説明できなければそれは真実じゃないだなんて、おかしい。たとえばキリストが水をワインに変えたこと。盲目の人を手で触れただけで治した事。これらを君は科学で説明できるのかい」


 適当に流してもよかったのだろうけれど、意見を互いにぶつけられる数少ない相手だから…わたし達は少し話すことにしました。


科学で全てはわからないよね。
ましてや一人の人間だけで全ての真実にたどり着くことは絶対にできないと想うよ。
わたしは貴方と違って科学学部に所属しているけれど、たとえば今わたしが持っている書類…この中の一つの数式に関してだって、わからないことはたくさんある。ただ一つの数式ですら満足に解けないのに、複雑に入り組んだこの世の中の”現象”を科学で全て説明するなんてわたしにはできない。いや、人間にはきっとできないことだろうね。何か新しいことがわかっても、きっとまたわからないことが出てくる。それに、世界は流動的だし。
だから、科学が絶対で、全てが説明できるとは考えられない。
けどね、科学で説明できないことが事実じゃない、っていうのはすこし勘違いしているかもしれない。科学が事実、って言うわけじゃないから。キリストが水をワインに変えた、っていうのが本当にあったのかは誰にもわからない。だけど、科学はそれがなかった、なんて否定はしない。もしそれが起きたとして、何故それが起きたのか。その原因を知ることが科学なんだ。もしも今はわからなくても、きっといつか、未来の人がわたし達が今していることを元にそれを解明してくれる。それらを信じて研究することなんじゃないかな。
魂の話もわたしは否定はしない。現在の科学では突き止めれば脳の電気信号でしかないのだけれど、もしかしたらまだわからないことがあるのかもしれない。
だけど、貴方の言うとおりそれを知ろうとするのが無駄だともわたしには思えないんだ。
だって、そこで思考をとめて、神様がやったんだ、で終わってしまったら

その先にはいけなくなる。

貴方の信仰心は、考えるのがつらいから逃げる場所のように見えてしまう。もちろん宗教はそういう痛みを人から開放するために存在するし、全ての現象に全ての人が理屈を求めることはないと想う。
それでも、それが一番だと信じすぎて、他の人にもそれを押し付けるのはいけないことだよ。
だって、わたしにとっての科学は、信仰心、神様の代わりなんだ。
神様を信じて、バイブルの言葉をなぞる代わりに、今まで人が育て上げてきた知識を信じて、教本や大学での講義をなぞってる。
それだけの差なんだよ。
貴方にわたしが科学を押し付ける事は絶対にないし、原因を知らないから、知ろうとしないから宗教がいけない、なんてことも言わない。
だけど、わたしの信じていることにも文句は言わせないよ。

わたしの心は、その先を知りたい、とわたし自身に呼びかけているから。



こんなことを話した、今日の、帰り道。


もちろん…
彼はこれをわかってはくれなかった。
わかることをはじめから放棄しているから。
けれど、それでいいと想う。
真実がどうであろうと、生きる道は変わらない。
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